アドバイザーコラム ADVISER

経営者の定年退職

もうすぐ、「平成」が終わり「令和」という
新しい時代が始まりますね。

薬局業界において、令和という時代が
良い時代になればと考えております。

さて、今回のお題は経営者の定年退職についてですが、
経営者の皆様におきましては、退職時期というのは
なかなか定めることは難しいのではないでしょうか。

後継者がいる場合を除いて、
何歳までやりたいとか、元気なうちはやりたいという
話やご意向はよくお伺いします。

しかしながら、ご本人様が引退をご希望される
年齢・タイミングになった際に
しっかりとした引継ぎができているかというと
そうでもないというケースも少なくありませんので
少しお話しさせていただきます。

半年以上前に、ご紹介でお会いしましたA薬局のオーナー様の話です。
引退のご相談を受けながら、開局から現在に至るまでの
お話を幾度となくお伺いしましたので、そちらをもとにお伝えできればと思います。

年齢は66歳。オーナー様は薬剤師ではなく、後継者もおりません。

50代後半に少し病気を患ったことから経営を続けるとしても
65歳までと当時は決めていらっしゃいました。

後継者がいないので、我々のような仲介会社が第三者への
M&Aを頻繁に提案してきていた時期もありました。

しかしながら、まだ働ける年齢であったことや
門前の先生と一緒に開業した薬局のため、自分だけが引退することに
申し訳なさを感じたり、残された従業員の生活のことを考えて、
当時はM&Aの話を進めることに乗り気ではございませんでした。

やがて月日が流れ、薬価改定や2年毎の報酬改定の影響であったり、
患者様の高齢化に伴う処方箋枚数の減少の影響などを
こちらの薬局も受けて、5年前と比べると収益が著しく低下しておりました。

その間に、薬剤師の入れ替わりも多く、
後継者として相応しい人材に出会うこともなく、
私と出会ったときは、引退すると決めていた
65歳を1年ほど経過しておりました。

はじめてお話しさせていただいたときの状況としましては、
50代で患った病気が悪化していたのと、
3か月後に管理薬剤師が退職することも決まっており
採用が困難な地域であったことから
新たに採用して続けていこうという気持ちよりも
売却をして引退したい気持ちのほうが強くなっていらっしゃいました。

時間も迫っていますので、早速資料を集めて
企業価値算定から入りましたが、
5年前に算出した価値には到底及ばずでした。

私としましても、高値で売却して引退していただきたいという
気持ちはございましたが、高値で売却ができるという無責任な言動で
譲受先が決まらず、ご迷惑をお掛けしてはいけないと考え、
5年前の半値以下ではありますが現状の価格であれば、
売却が可能であるのですぐに候補企業をお連れする旨をお伝えして
ご理解いただきました。

もちろん、ご理解いただくにはそれなりのお時間を頂きましたが……。

譲受先との面談やDDも終わり、あとは調印式のみという
タイミングで一度お伺いしたときに、オーナー様より
「体調が本当に良くなくて、このタイミングで引退出来て
本当に良かった。これからは安静にしておきます。ありがとう。」
と、お言葉を頂いたときは感極まりました。

肩の荷が下りたのか、オーナー様の顔は初めてお会いした時よりも
朗らかな感じでした。

今回のケースは、収益が低下して難しい案件になっていたにも関わらず
オーナー様に売却価格の目線を下げていただけたので
無事成立した話ではあります。

しかしながら、M&Aとは縁とタイミングによる要素が少なからず
ございますので、これといったセオリーはございませんが
まずは現状の把握と、将来を考えて、一度ご相談だけでも構いませんので
お問い合わせいただければと思います。
弊社のアドバイザーが全国どこでもお伺いいたしますので
何なりとお申し付けくださいませ。

もちろん、無理な売却を進めたり情報の漏洩などはございませんので
ご安心くださいませ。

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