M&A成功事例 SUCCESS CASE

譲渡安心して任せられる会社への譲渡

元ふじたに薬局
薬局事業代表・管理薬剤師 藤谷 都さん

藤谷薬局の歴史を簡単に教えてください。

結婚するまでは町立の大島病院に4年間勤めていました。出産を機に退職し、長女が小学校2年生のときに自宅を改装してOTCの薬局を始め、3~4年経ってから処方せん調剤を始めました。しだいに院外に処方せんを出す病院も増えてきたので、成長し薬剤師になった長女と、次女も事務員として当薬局に加わることになりました。
そして、当時院内処方をされていたクリニックの院長と会合でお会いした際に門前薬局として処方せん受付をさせていただきたい旨をお話したことがきっかけで、晴れて門前薬局として移転、他事業をしていた主人も社長として加わり始動しました。

調剤するうえで大切にしていたことはありますか。

患者様のお話をよく聞き、その方の思っていることを受け止めてあげることを大切に考えていました。また、私自身も大島出身なので、クリニック門前として処方せんを受けることができるようになったときには、顔見知りの方がたくさん処方せんを持って来てくれたことがとても楽しく、一生懸命対応しました。

順調に経営なさっていたと感じますが、事業承継を考え始められた経緯について教えてください。

まもなく70歳を迎えるにあたって引退を考えるようになり、従業員の雇用継続をしてくれるような引き継ぎ先を探し始めました。

最初は、近隣の仲の良い薬局さんにお声がけしましたが個人の薬局では譲受は難しいと言われてしまいました。次に大島郡内にチェーン展開している薬局さんにもお話したのですがうまくいかず。そして、いつも取り引きのある2社の卸会社さんにお声がけさせていただいたうちの1社、サンキさんの事業承継担当者さんが話を進めてくださいました。先方の協業会社であるユニヴさんに話が伝わり、買い手を探してくださることになりました。

そんな中、サンキさんとのお話が進む最中で長女が体を壊してしまい、トップ面談の2、3日前に、しばらくの間まったく出勤できなくなってしまうことがわかりました。譲渡に対する不安よりも「とにかくクリニックさんの調剤を絶やしてはいけない」という焦りのほうが強かったですね。

ふじたに薬局の女性事務員とザイタックの男性薬剤師。
安心して後を任せられると安堵の表情を見せる藤谷さん。

それは大変でしたね。そんな中でのトップ面談時の譲渡先の印象はいかがでしたか?

急な話だったにもかかわらず、買い手企業であるザイタックの親会社、NICグループの吉川社長が「人的支援をしますから安心してください」と言ってくださいました。すごく物腰の柔らかい方でお話しやすかったですし、いろいろ気を配ってくださったことで「この社長なら譲渡しても大丈夫だ」と安心しました。 娘の業務を引き継いでくださるザイタック取締役の野山さんともお会いし、吉川社長同様にとても良い方で更に安心できました。

お嬢様の業務引き継ぎが切羽詰まったご状況だったと思いますが、トラブルはありませんでしたか?

長女は12~13件ほどの在宅業務を担当していたため、すぐに引き継ぎをする必要がありました。野山さんが、トップ面談が終了して間もない6月前半から来てくれて、1週間で在宅の引き継ぎをしました。娘から体調不良の話を聞いたときは本当に焦りましたが、野山さんが譲渡前に店舗に入ってくださり、薬局業務を守っていただきました。本当に感謝しています。

また、トラブルというほどでもありませんが、次女が管理していた防犯・防災対策類のリースをほかに把握している人がいませんでした。大島は台風などで電気が止まることがあるので蓄電池が必須なのですが、その契約を引き継ぐためにどうしたらいいのか分からず苦労しました。

これから事業承継を考えている人にメッセージをお願いします。

これから薬局経営はだんだん難しい時代になるので、跡継ぎがいない方や譲渡を検討されている方は、薬局の状態が良いうちから早めに相談したほうが良いと思います。大変になってしまってからではどうにもならないことを、私自身痛感しました。一人で悩まず、信用のできる会社にひとまずご相談されてみてはいかがでしょうか。

事業承継が終えられた今、どのようなお気持ちですか?

すべての責任から解放されて、大きな肩の荷が下りたような気分です。経営していたときは手伝ってくれる人もいましたが、1人薬剤師でしたから管理薬剤師、経理など薬局に関わるすべてを1人で担い、全部自分で決めなければいけませんでした。患者さんから苦情を言われることもありましたし、薬が足りなくて迷惑をかけてしまうことも……そのようなプレッシャーすべてから解放されたのは大きいですね。患者数が減らずにされているだろうかと気にならないわけではありませんが、私が気にしても仕方がないと思っています。

<担当の前田より> 薬局を譲渡する8月31日に多くのお花が届いていました。 私たち仲介会社はオープンの日に開局祝いとして届いているお花を見る機会は よくありますが、奥様宛に施設長や患者さん、従業員さん、卸さんなどから たくさんのお花が届いているのを見て、地域から愛されていることがよくわかりました。

療養されていたお嬢様も落ち着かれ復職をお考えなので、 弊社で転職支援をさせていただく機会も頂いております。 これからも事業承だけでなくさまざまな面から薬剤師さんのサポートを させていただきます。

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