事業承継における役員借入
先日、ある経営者様より後継者様に事業承継する上で、
会社に対して役員借入(社長個人の会社への貸付)があるため、
下記のようなご相談がございました。
社長「役員借入が4,000万円程度あり、息子に会社を譲るまでに綺麗に清算したい」
松尾「それはなぜですか?」
社長「役員借入があることによって、会社の株価評価は下がるので
株式を譲渡する場合は問題ないが、もし自分が死んでしまった場合、
実際にキャッシュがないにも関わらず、相続税が発生してしまう。
それに会社がキャッシュ不足であり、退職時に清算することは困難なため、
どうすればよいか悩んでいる」
松尾「役員を退職するタイミング、資産の保有状況、
銀行からの借入状況によって解決策は複数ございます」
■役員報酬削減による返済
・役員借入金の返済は税金社会保険料なし
・退職間近の場合は役員退職金の限度額が低くなる可能性有
■後継者に贈与
・贈与の基礎控除内(年110万円)以内での長期贈与
・相続時にトラブルとなる可能性有(会社を継がない法定相続人)
■資本金へ変更
・役員借入金を現物増資という形で資本へ振替
・資本金の増加による税金が増加する可能性有
■貸付金を放棄
・借入金の当該役員が会社への債権を放棄
・債権を放棄することで会社は利益が計上されるため、繰越欠損金で赤字相殺しないと多額の法人税が発生する可能性有
■代物弁済
・会社の資産である自己株式や不動産により返済
■生命保険を活用
・解約返戻金や死亡保険金で返済(解約返戻金は雑所得扱)
・保険料の一部を損金計上することも可能
・一部保険は短期間で返戻金をためることが可能(5年程度)
■M&Aを活用
・一部店舗売却による利益にて返済
・株式譲渡による負債の清算
社長『どの方法が自社にとって一番メリットがあるのかわからない』
松尾『御社の財務状況を確認し、後継者様とも一緒に時間をかけ対応していきましょう』
上記のように役員借入は多くの企業様で発生しており、
事業承継時に必ずと言っていいほど悩みの種になります。
解決方法は多々ありますが、
役員借入の清算までに時間が必要となるケースが多いため、
事業承継を考えた際には一度ご相談を頂ければと思います。
詳細はお問い合わせいただければと思います。