アドバイザーコラム
ADVISER
株式の一部譲渡という選択
来月の増税、来年の改定を目前にM&Aを検討しているという相談が増えております。
薬局業界の将来性を考えるとどうしても悲観的にならざるを得ないというのですが、
お話を伺っているとまだまだお元気で働ける方、中には40代という方もいらっしゃいます。
先を見据えてM&Aをするのは選択肢の一つですが、そのあとの生活もあることを
考えるとなかなか踏ん切りがつかないという方も多いのではないでしょうか。
株式をすべて譲渡して子会社の社長として経営を続けるという方も増えていますが、
株を譲れば自分の会社ではなくなってしまう。
そういったお悩みが「株式の一部譲渡」によって解決できるかもしれません。
株式は取得割合によってできることが変わります。
33.4%以上取得すると「否決権」をもって会社の重要な意思決定を阻止できます。
50.1%以上あれば会社運営に関わる多くのことを決定できます。
66.7%以上持つと会社の根幹に関わる重要な意思決定が可能です。
さてこれを踏まえて、将来の見通しがわからないからM&Aの可能性もある。
一方で、自分で継続する可能性も残しておきたいし、子供が継ぐ可能性もけど、
今は人材も足りないし、経営も楽ではないから大手の力を借りたいといった場合に
株式の一部を譲渡することで、大手との資本提携によるスケールメリットの享受、
人材支援、教育体制の共有などを受けることが可能です。
しかし、株は一部しか譲渡していないため会社の重要な意思決定はこれまで通りに
自分で行えて、将来的にM&Aはせずに後継者に承継することもできます。
先のことはわからないですが、今後も変化の続く業界においては、
様々な可能性を考慮してリスクヘッジをしていく必要があるように感じます。