薬局M&Aとは MERGERS & ACQUISITIONS

調剤薬局業界のM&AについてABOUT M&A

現在の調剤薬局市場では経営にあたっての課題が多く出てきています。M&Aの道を選ばれた経営者様が感じられた事や、ユニヴの知見から課題を見出します。リスクマネジメントや経営判断、M&A検討にあたってのご参考としていただけましたら幸いです。

成長率が横ばいとなる調剤薬局業界

POINT

  • 医薬分業率が70%を超え業界の成長率は横ばい傾向に
  • 価格や報酬改訂、消費税増などによる利益圧迫

調剤薬局業界は全国の店舗数が57,000件を超え、市場規模が7兆円を超える大型マーケットではございますが、2017年現在、医薬分業率は70%を超え成長率も落ち着き、成熟市場へと推移している状況です。
一方で競争の激化、薬価の引き下げ・調剤報酬額の下落傾向等により、個々の調剤薬局の利益率は低下傾向にあります。ひと昔前のように、大型病院の門前に建てれば収益を確保できるという環境ではなく、より患者様と向き合った経営が必要とされております。
更に2025年に向けた診療報酬の改定や、直近で申し上げると消費税増税などの利益圧縮要因が存在します。

日本薬剤師会「医薬分業進捗状況」より抜粋

大手調剤薬局チェーンにおける寡占化の可能性

POINT

  • 大手の占める割合が調剤薬局は15%に満たない
  • 調剤薬局市場は大手が寡占化を進める可能性が高い

実は、薬局業界は大手調剤薬局チェーンのシェアが上位10社でも15%に満たない程度。売上のほとんどが中堅中小・個人薬局で構成され、マーケット・リーダーと呼べる企業のいない低寡占市場です。
対するドラッグストア市場は上位10社で69.5%、トップ企業の占めるシェアが8.1%と寡占が進んだ市場です。調剤薬局もドラッグストア同様に「規模の経済」が働きやすい市場であるため、将来的な寡占化が予想されます。

今後の調剤薬局経営における課題と懸念点

POINT

  • 医療費削減制作や薬価報酬改定に伴う収益の圧迫
  • 今後ますます厳しくなる薬剤師の人材確保

平成33年以降行われる見込みの薬価報酬改定

薬価改定とは、国の方針として医療費を押し上げる要因となっている薬価の基準価格を値下げすることで、財源捻出と共に医療費削減に取り組むための施策です。これまでは2〜3年に1回のペースで改定が行われて来ましたが、平成33年以降は毎年行われる見込みです。政府が2017年11月に公表した資料では、平成33年以降の薬価改定では対象を大幅に増加させることで、2,500億円の削減を行うと見込まれており、これが小規模の調剤薬局の経営を圧迫するものと考えられます。市場規模が350億円を超える薬については、年4回の薬価改定が盛り込まれるなど、今後の先行きは不透明と言えます。

薬剤師の慢性的な不足

薬剤師はこれまで4年制の薬学部の卒業で国家試験を受験することができましたが、現在では6年制となり薬剤師が不足する原因となっています。また、6年制に伴い薬学部自体の志願者数の人気が下がってきています。4年制最後の年とあった、2005年には私立の薬学部志願者は12.3万人いましたが、2010年には6.3万人と半減し、現在の卒業生は過去の半数程度しかいないと考えられます。更には、大手企業が出店攻勢のために多数の採用を行っていることから、地方や小規模企業での薬剤師の採用が困難となり、事業承継が進まない薬局が多くなっているのが現状です。

調剤薬局とM&Aの今後

POINT

  • 売りたい経営者が供給過多になる可能性
  • 買い手優位なM&A市場となり適正価格での取引が難しく

M&Aの売り手側である個人薬局と買い手側である大手薬局会社の数には大きな差があります。
そのため、今後人材不足により経営難となった薬局の多くがM&Aを決断するとなると、いずれ売り手側の供給過多になるでしょう。
売り手の飽和状態になると、買い手側としては企業の選択肢が増えるので売り手側の競争が激化し、結果的に取引価格の低下を招くことが想定されます。
そうなると本来の適正価値よりも安くなってしまう可能性があるので、薬局を売りたいと考えているオーナー様は迅速な判断が必要です。

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