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経営戦略とは?フレームワークの種類から活用のポイントまで

「起業したい」「事業展開したい」と考えていても、多くの人は「具体的に何から始めればよいのか分からない」「競争が激しく事業を続けていけるか分からない」などの理由により、経営者の道を断念してしまいます。

しかし、起業に際して明確な経営戦略を立案することができれば、「起業のために何から始めればよいのか」「競争を勝ち抜くためにはどうしたらよいのか」がはっきりとするでしょう。

当記事では、経営戦略の定義を明らかにし、基本的な構造や活用方法を解説します。経営戦略とは何かを分析し、経営戦略の立案について具体的なイメージをする際の参考にしてください。

 

1.経営戦略とは?

経営戦略とは、企業として成長を続け経営理念を達成するための中長期的な行動指針、方策を指します。

現代日本においても、科学技術などは日進月歩しており、人々の生活や日本企業を取り巻く環境についても絶え間なく変化を続けています。さらに、インターネットの普及などによるグローバル戦略の必要性、消費者需要の多様化などにより経営環境は変化を続けており、企業の競争はますます激化していくでしょう。

このような状況において、企業として場当たり的な経営を続けていても、その企業が中長期的に成長を続け、ビジョンを達成することは期待できません。企業が競争を勝ち抜き、ビジョンを達成するためには、企業が有する経営資源を有効に活用し、戦略経営を行うための経営戦略策定が不可欠です。

 

1-1.経営戦略の3構造

経営戦略は、次の3つの構造によって成り立っています。

企業戦略 企業における経営ビジョンなどの企業における長期的な経営戦略
事業戦略 事業領域の設定などの事業レベルにおける経営戦略
機能戦略 事業を具体的に推進していくための機能レベルにおける経営戦略

例えば薬局を開設する場合、それぞれの具体例は次の通りです。

企業戦略としては、「薬品を必要としている人に対し、確実に薬品が届けられる社会を創造する」などの経営ビジョンを策定することが挙げられます。

事業戦略としては、「東京都内で薬局を設立し、ジェネリック医薬品を豊富に取り揃えるようにする」などの市場や製品の設定をすることが挙げられます。

機能戦略としては、「この薬品は、あそこから仕入れよう」「あそこの病院に営業に行って、調剤薬局として使ってもらえるようにしよう」など、仕入れや営業の機能について具体的な機能別戦略を策定することが挙げられます。

 

1-2.経営戦略と経営戦術・経営計画との違い

経営戦略と似た用語として、経営戦術や経営計画という用語があります。それぞれの違いを理解することで、経営戦略という用語の意味も明確なものとなるでしょう。

・「経営戦術」との違い

経営戦術とは、企業が経営戦略に基づいて戦略策定するにあたり、戦略の目標を実現するための具体的な手段を指します。経営戦略を決定した後に、その達成手段として経営戦術が決定されます。

例えば、「地域で一番の薬局を開設する」という経営戦略を実施するための「自社商品の数を増やす」「商品の価格を下げる」などの手段が経営戦術にあたります。

・「経営計画」との違い

経営計画とは、経営戦略を実施するための具体的な数値を設定し、その実施のための計画を作成することを指します。

例えば、「全国で100店舗の薬局を展開する」という経営戦略を実施するための「1年後に10店舗を展開する」などの事業計画が経営計画にあたります。

 

2.【基本】経営戦略でよく使われる言葉5選

経営戦略を立てるためには、経営戦略における重要用語の定義を理解しておく必要があります。よく使用される重要用語としては、次の5つが挙げられます。

  • ・ コアコンピタンス
  • ・ イノベーション
  • ・ アントレプレナーシップ
  • ・ サステナビリティ
  • ・ インテグリティ

以下では、上記の用語について解説をします。

 

2-1.コアコンピタンス

コアコンピタンスとは、企業の中核となる強みを意味します。コアコンピタンスは、次の3つの条件を満たす必要があります。

  • ・顧客に利益をもたらすものであること
  • ・競合他社に模倣されにくいものであること
  • ・幅広く活用や応用ができるものであること

コアコンピタンスは企業の数だけ存在しますが、「技術」「価値」「体制」の3つの分野に大別されます。

コアコンピタンスの確立は、企業が競争を勝ち抜き、経営戦略を達成するためには必要不可欠です。コアコンピタンスを確立するためには、明確なビジョンを持ち、人材力・組織力を高め、常に進化を求め続ける姿勢が重要になります。

 

2-2.イノベーション

イノベーションとは、モノやサービス、ビジネスモデルなどに新しい考え方や技術を導入することで新たな価値を生み出し、インパクトのある革新・変革をもたらすことです。

イノベーションによる成果としては、起業に大きな利益をもたらす、生産性の向上により起業課題を解決する、市場を独占する、競争において優位な立場を確保することが挙げられます。

企業が競争を勝ち抜き、継続的に成長して経営戦略を達成するためには、イノベーションによる差別化戦略も欠かせない要素の1つです。イノベーションを起こし続ける企業にするためには、市場の変化と時代の流れに対して常にアンテナを張り、適切なアクションを取ることが重要です。

 

2-3.アントレプレナーシップ

アントレプレナーシップとは、自ら新しい何かを生み出せる起業家のような精神をもって行動できる人のことです。

企業での働き方が変化し続ける現代においては、企業内においてもアントレプレナーシップの考え方を持つ社員が求められています。そのため、自ら起業を考えている人にとって、アントレプレナーシップの考え方を身に付けることは必須です。

アントレプレナーシップの考え方を身に付けるために欠かせない能力としては、新しいアイデアを生み出せる能力、高いコミュニケーション能力、リーダーとしてリスク管理や責任を取れる能力が挙げられます。

 

2-4.サステナビリティ

サステナビリティとは持続可能性のことで、目先の利益を追い求めるのではなく、自然環境や社会システムの維持にも目を向けようとする考え方や活動を指します。

サステナビリティ経営は、企業の社会的な評価を向上させ、労働環境を改善することにより、従業員の離職率低下や優秀な人材の確保につながることがメリットです。

これからの企業経営においては、利益を追求するだけではなく、社会的な責任を果たして企業の信頼を確保することが必要になります。経営戦略にサステナビリティの考え方を取り入れることは、今後の企業経営にとっては欠かせない要素の1つです。

 

2-5.インテグリティ

インテグリティとは、「誠実」「真摯」「高潔」といった意味を持ちます。インテグリティを持つリーダーとは、部下に「ついていきたい」「認められたい」と思わせる人間性を持ち、裏表のない行動が取れるリーダーのことです。

インテグリティを持つリーダーを育成するためには、企業として目指すべきビジョンが明確である必要があります。企業の目標、つまり経営戦略を共有するための教育が必須です。

企業を経営し経営戦略を達成するためには、経営戦略を共有して目的に向かって突き進むことのできる、インテグリティを持つリーダーを育成する人事戦略も不可欠な要素の1つといえます。

 

まとめ

現代の競争社会において、企業が競争を勝ち抜きビジョンを達成するためには、基本戦略を定める経営戦略の立案が必要不可欠です。そして、経営戦略を立案するためには、経営戦略の構造について理解することが大切です。

経営戦略の構造や経営戦術・経営計画との違い、経営戦略でよく使われる言葉を理解することで、具体的な経営戦略の立案ができます。今回の記事を参考に経営戦略を実施し、企業はビジョンに向かい着実な成長を続けましょう。

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