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M&A

M&Aとは?手法やメリット・成功ポイントを分かりやすく解説

M&Aは、「Merger And Acquisitions」の頭文字をとった略称であり、「企業の合併と買収」を意味する言葉です。事業成長・事業継承などにおいてM&Aが進められることは多く、近年では幅広い業界で中小企業を中心に、少子高齢化などあらゆる影響によりM&Aを検討する企業が増加傾向にあります。

企業の合併や買収と聞くと、ネガティブなイメージを抱く方も多いでしょう。しかし、適切な企業間でのM&Aはかえって双方に大きなメリットをもたらす場合もあり、企業の存続や成長に有効な戦略とも言えます。

今回は、M&Aの具体的な意味や目的・手法から、メリット・デメリット、さらに成功するためのポイントまでを徹底的に解説します。「M&Aという言葉自体は聞いたことがあるけど、具体的にどういうことかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。

 

1.M&Aとは?どんな意味・目的がある?

M&Aとは、大まかに言うと「企業の合併・買収」という意味で、2つ以上の複数の会社が合併したり、ある企業が他会社を買収したりすることです。また広義の意味としては、合併や買収だけでなく資本提携・業務提携を含むこともあり、経営面での協力全般を指す場合もあります。

M&Aには譲受け(買い手)側・譲渡(売り手)側双方にメリットがあり、下記のような悩みや課題を持った企業がM&Aを進める傾向です。

譲受け側 譲渡側
  • コストや時間をなるべく抑えて事業を大きく発展させたい
  • 他企業が持つ技術力やノウハウ、人材や取引先を継承したい
  • 経営層の高齢化により適切な後継者が存在しない
  • 信頼できる人材または企業に事業を継続してもらいたい

また、M&Aが日本企業で行われ始めたのは、1980年代からです。しかし当時はさほど注目されておらず、1990年代後半までの約15年間、M&Aを行う会社は年間1,000件にも満たしませんでした。しかし2000年以降、日本企業のM&A件数は約2,800件あたりまで急速に増加し、2019年には4,000件となります。

出典:MARROnline M&A情報・データサイト「グラフで見るM&A動向」

 

1-1.M&Aの代表的な手法

M&Aは、内容によって広義のM&A・狭義のM&Aに分けられます。基本的には、資本の移動を伴う「資本提携」の中でも合併・買収・分割は狭義のM&Aで、合併企業の設立や資本の移動を伴わない業務提携までの範囲が広義のM&Aです。下記では、M&Aの代表的な手法をそれぞれ解説します。

〇買収

買収は、ある企業が他会社から、株式の過半数や事業資産を取得して、事業の経営権を譲り受ける方法です。具体的な方法としては、下記が挙げられます。

  • 株式譲渡
  • 株式交換
  • 株式移転
  • 事業譲渡

〇合併

合併は、2つ以上の複数企業をあわせて、一つの企業・法人とさせる方法です。合併には、主に下記2つの方法いずれかが行われます。

  • 吸収合併
  • 新設合併

資本提携

資本提携とは、協力内容を明確にしたうえで業務提携契約を結び、ある企業が他会社の株式を取得する、あるいはお互いに株式を取得し合うことで、強固な提携関係を構築させる方法です。資本提携の具体的な手法として、買収や合併、会社分割があります。

業務提携

業務提携とは、協力内容を明確にしたうえで業務提携契約を結び、双方の企業が技術や人材、あるいは資金など特定分野で協力関係を構築させる方法です。お互いの事業の強みを活かしながら、弱みを補えるようなシナジー効果が生まれます。

 

2.M&Aのメリット・デメリット

最適なM&Aは、譲渡企業・譲受け企業に大きな恩恵をもたらします。しかし、いくつかの注意点もあるため、M&Aを進める前によく検討したうえでベストな選択をすることがおすすめです。

ここからは、M&Aのメリット・デメリットを、譲渡する側と譲受けする側に分けて説明します。

 

2-1.会社・薬局を譲渡(売却)する側

会社や薬局を譲渡する側にとって、M&Aは主に事業継承問題を解決させ、存続・発展につなげるだけでなく、創業者利潤も得られるといったメリットを享受できます。

【譲渡(売却)側】M&Aのメリット

〇事業存続・継承問題の解決

後継者が不在となっている会社や薬局の場合、事業の継続ができなければ廃業となる可能性も大いにあります。しかし、適切な企業とのM&Aを行うことで後継者を見つけられ、これまで培ってきた専門性の高い技術やノウハウが失われることなく事業を存続することが可能です。

〇事業の発展

経営資源が豊富な企業に買収されることにより、自社・自店舗の弱みを補いながら、事業を発展させることができます。勤務していた従業員においても、事業拡大や発展による生産性の向上が期待できるでしょう。

〇創業者利潤の確保

M&Aにより会社・薬局を譲渡する際は、今後の収益力や事業価値などを加味して株式価額が評価されます。そのため、M&Aは最も多くの創業者利潤を得られる有利な方法と言えるでしょう。

【譲渡(売却)側】M&Aのデメリット
  • 想像していた価格での譲渡ができないケースがある
  • 従業員・取引先・顧客との関係性が悪化する可能性がある

譲渡側には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。譲渡後に担当者が変更し、従業員の雇用条件や取引先・顧客の契約条件などが大きく変わることにより、関係性が悪化して取引を打ち切られる可能性がある点には十分注意しましょう。

 

2-2.会社・薬局を譲受け(買収)する側

会社・薬局を譲受け(買収)する側には、主に新たな技術・ノウハウ・ブランドの取得やコスト削減において大きなメリットがあります。

【譲受け(買収)側】M&Aのメリット

〇新たな技術やノウハウの取得

会社・薬局を譲り受ける企業にとって、すでに確立された技術やノウハウを取得できれば新たな市場や分野の開拓もできるため、大きなメリットです。

〇新たなブランド・信用の取得

買収した企業のブランドや信用を手に入れれば、人脈や物流網などのつながりを広げることもでき、効率的にシナジー効果を得られます。

〇コストの削減

優秀なサービス・商品と人材の揃った会社・薬局を買収することで、1から作り上げる必要がなくなり、大幅なコストの削減にもつながるでしょう。

【譲受け(買収)側】M&Aのデメリット
  • 想定していたよりも収益が上がらない可能性がある
  • 優秀な人材がM&Aにより流出する可能性がある

譲受け側にも、メリットだけでなくデメリットが存在します。特に優秀な人材の流出リスクは決して低くなく、結果として統合後にうまく組織をまとめられなくなるケースがあることにも注意してください。

 

3.【譲渡側視点】M&Aを行う際の流れ

M&Aを行う際は、基本的なプロセスをおさえたうえで計画的に進めましょう。下記は、譲渡側視点におけるM&Aの流れです。

(1)検討・準備 M&Aを検討し始めた際は、まずM&Aとして会社を譲渡する目的を整理しましょう。現状の問題を踏まえて目的を整理することで、自ずと買収先に求める条件も見えます。また、準備段階では過去三期分の決算書を揃えることもおすすめです。
(2)買収先探し M&Aの目的を整理し、準備すべき書類などを揃えたあとは、適切な買収先を探しましょう。買収先を探す際は、税理士や仲介会社に仲介してもらうことが一般的です。このとき、事業内容や規模などの情報を資料にまとめる必要があります。
(3)必要情報の交換 適切な買収先が見つかり、秘密保持契約を締結したあとは、双方の企業の必要情報を交換します。
(4)経営者同士の面談 必要情報の開示と交換が終われば、経営者同士で面談を行います。双方の企業の魅力や細かな条件を話し合い、基本合意書の締結に向かいましょう。
(5)最終契約 基本合意書の締結後は、弁護士や会計士にデューディリジェンス(買収監査)を依頼し、問題がなければ最終契約に向けて条件交渉を行います。双方の条件に合意できれば、最終契約となります。
(6)譲渡決済・取引完了 最終契約の締結後、クロージングと言われる譲渡決済を行い、M&A取引は完了です。

 

4.M&Aで成功するためのポイント

最後に、譲渡側がM&Aで成功するためのポイントを2点紹介します。

〇どのような相手と行うのか

M&Aを成功させるためには、相手企業の選定が非常に重要です。企業文化が似ている・敬意を払ってくれる相手であればM&Aによるシナジー効果が生まれやすくなるでしょう。

〇どのような条件を結ぶのか

実態に合う売値か売却後の経営は問題ないかなど、M&A成立後の経営も踏まえて条件を細かく考えることも大切です。

適切な候補先を探すためには、プロの手が欠かせません。薬局の後継者問題に悩んでいる方・少しでもM&Aを検討している方は、ぜひ薬局M&Aを全面的にサポートする「ファーネットビズ」にご相談ください。

 

まとめ

日本全国では現在、深刻な高齢化社会問題に直面しています。経営層の高齢化と新たな技術の発展が、「適切な後継者がいない」「事業が縮小し始めている」という問題を起こすケースも多々あるでしょう。M&Aは、このような問題を解決へと導くための有効な経営戦略として注目されています。

適切な買収先とM&Aを成立できれば、双方に大きなメリットをもたらします。しかし、適切な買収先を見つけることはそう簡単ではありません。

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